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執筆者の写真ikeco

三味線の皮を張り替えました。

今年の梅雨は長く雨量も多かったですね。

練習のために三味線をケースから出そうとしたら・・・

皮がぱっくりと割れていました。


演奏会用の三味線の皮は猫ですが、稽古三味線は犬です。

(ああ、なんだかごめんなさいの気分になってきました。)

犬は猫より丈夫です。

これまで胴に糊付けされたところがずれることはあっても、

皮が割れたことはありませんでした。


湿度の高い日が長く続いたからでしょうか。梅雨があけるのを待って修理に出しました。

修理をお願いしているのは、世田谷区にある「亀屋邦楽器店」さん。

もうずいぶんと昔からお世話になっています。

良い音を奏でられるように、細かいところにまで注意を払ってくださって

全幅の信頼を置いています。店主さんは東京都公認三味線マイスターです。


三味線の修理にはたくさんの工程があって、長い時間をかけて培われる技術です。

以前、「かんべり」という棹が指の圧でへこんでしまったものの修理のために、店を訪ねたことがありました。旦那さんは留守でした。若い人の前で三味線を広げていると、丁度帰ってきた旦那さんが、通りがけにちらッと三味線を見て「おい、そこ。」と若い人に指図していきました。胴裏の皮が少しずれていたのでした。


ちらっとみて「そこ」の一言。そして若い人が「あっ」とすぐに気づく。

いいもの見させてもらったなあと嬉しくなりました。

こういう人たちに、演奏する人たちは支えられています。


八王子にある東京和楽器が経営危機に陥っているというニュースが報じられました。

コロナで演奏会がなくなった影響が大きいのです。

これは、ひとつの会社の危機のみならず、伝統芸能の底を揺るがす事態です。

止めてしまったら復活は難しい。小さな試みを何度も何度も繰り返して漸く習得される技術ですから。


先日亀屋さんで修理上がりの三味線を受け取って来ました。使用している駒の高さによって音質が変わるのでさわりの部分の調節の仕方を伝えられました。こういったこだわりに

弾く側が育てられ、音に深く向きあうきっかけを与えてもらうのだなぁと思います。


芸能もそれを支える人たちも、なんとしてもこの危機を乗り越えなくてはなりません。










  こんなになっていましたが

                  すっかりきれいになりました。

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